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小川 益郎*
JAEA-Technology 2019-010, 22 Pages, 2019/07
円管内流れは、流れが実際に遷移し、遷移流が間欠性を示すにもかかわらず、あらゆる小さな外乱に対して線形的に安定である。このことは、流体力学ではまだ解決されていない大きな課題の一つである。そこで、著者は、これまで誰も気がつかず認識してこなかった事実を初めて指摘する。この事実というのは、「円管内の流れは、流れの剥離によって、円管入り口付近に形成される剥離泡から放出された渦のために層流から遷移し、そして渦放出が間欠的であるために遷移流が間欠性を示す。」というものである。この事実は、円管の入口形状が遷移レイノルズ数に大きく影響することや、第3の遷移現象に分類されている外側円筒が支配的に回転する同心二重円筒間の流れが円管内の遷移流れと同様に流れの剥離によって間欠性を示すといった、多くの実験結果によって裏付けられている。本研究によって、高温ガス冷却炉の熱流体設計において最も重要な課題の一つである熱伝達促進のために、急縮小型の入口形状が遷移開始レイノルズ数をできる限り小さくできることを明らかにした。
片山 芳則; 稲村 泰弘*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 238(1-4), p.154 - 159, 2005/08
被引用回数:8 パーセンタイル:52.87(Instruments & Instrumentation)多くの物質が結晶状態で異なった構造を持ち、圧力の変化によって一次の構造相転移を起こすことはよく知られている。一方、液体やガラスの状態では、圧力誘起構造変化は単調であると考えられてきた。最近の放射光光源の発達によって、高温高圧条件下における液体やガラスの構造研究を行うことが可能になった。これらの研究は、液体やガラス状態での変化が必ずしも単調でないことを明らかにした。われわれは、液体リンと石英ガラスの最近の結果について報告する。
立岩 尚之; 芳賀 芳範; 松田 達磨; 池田 修悟; 安田 敬*; 竹内 徹也*; 摂待 力生*; 大貫 惇睦
Journal of the Physical Society of Japan, 74(7), p.1903 - 1906, 2005/07
被引用回数:71 パーセンタイル:89.02(Physics, Multidisciplinary)結晶反転対称性のない重い電子系超伝導物質CePtSiの反強磁性・超伝導転移温度の圧力依存性を交流比熱測定によって調べた。常圧で2.2Kである反強磁性転移温度(ネール温度)は加圧とともに減少し消滅する。反強磁性臨界圧力は0.6GPaと決定された。一方、超伝導相は常圧から1.5GPaの幅広い圧力領域で存在する。CePtSiの圧力相図は大変独創的で、これまでの重い電子系超伝導物質の圧力相図と大きな違いがある。
片山 芳則; 稲村 泰弘*; 水谷 剛*; 山片 正明*; 内海 渉; 下村 理*
Science, 306(5697), p.848 - 851, 2004/10
被引用回数:148 パーセンタイル:96.71(Multidisciplinary Sciences)約1GPa, 1000Cで起きるリンの二つの液体構造の間の構造変化がX線ラジオグラフィーによるその場観察によって調べられた。低圧液体が圧縮されると、暗く丸い物体がラジオグラフの中に現れた。X線回折測定によって、これらの物体は高圧液体であることが確認された。液滴は大きくなり、最後には試料空間を埋め尽くした。減圧により逆の過程が起こった。マクロスコピックな相分離はこれが一次の液体-液体相転移であることを支持する。X線吸収測定によって、転移に伴う密度の変化が高圧液体の密度の約40%であることが明らかになった。
鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
JSME International Journal, Series A, 47(3), p.479 - 485, 2004/07
原子炉圧力容器の構造健全性評価では、シャルピー衝撃試験から得られる延性脆性遷移温度の中性子照射によるシフトが、破壊靭性のシフトと等しいと仮定している。このため、破壊靭性とシャルピー遷移温度との相関を確立する必要がある。本研究では、6種類の原子炉圧力容器用のASTM A533B-1鋼及び溶接金属について、ASTM規格に導入されたマスターカーブ法を適用して破壊靭性を評価した。中性子照射試験は、JMTRにおいて、予き裂シャルピー破壊靱性試験片及び標準シャルピー衝撃試験片に対して実施した。マスターカーブ法に基づく破壊靭性参照温度とシャルピー遷移温度に対する中性子照射効果を評価した。試験片寸法効果に関して、シャルピー型試験片と大型試験片との比較も行った。破壊靭性参照温度の中性子照射によるシフトとシャルピー衝撃試験の遷移温度シフトとの相関を確立するとともに、照射後の最適な破壊靭性試験温度及び下限破壊靭性の評価に関する検討を行った。
片山 芳則; 辻 和彦*
Journal of Physics; Condensed Matter, 15(36), p.6085 - 6103, 2003/09
被引用回数:81 パーセンタイル:92.57(Physics, Condensed Matter)いくつもの元素液体の高圧におけるX線構造研究がレビューされる。シンクロトロン放射光源と大容量プレスを組合せることによって、数ギガパスカルまでの高圧下における構造のその場測定を行うことが可能になった。これらの測定から、液体アルカリ金属の圧縮は等方的であるのに対し、結合に共有的な要素を持った液体の圧縮はほとんどの場合、非等方的であることがあきらかになった。幾つかの元素では、異なった種類の体積依存性が異なった圧力領域で観察される。この振る舞いは液相を幾つかの領域にわけることが可能であることを示唆する。観察された構造変化のほとんどは連続的であるが、液体リンでは、約1GPa, 1050Cで、圧力幅0.05GPa以下で完了する急激な構造変化が観測された。この発見は1次の液体-液体相転移の存在を支持するものである。
井口 正; 柴本 泰照; 浅香 英明; 中村 秀夫
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 8 Pages, 2003/04
BWRの水力不安定時には、流量変動に同期して燃料被覆が沸騰遷移とリウェットを周期的に繰り返すことが知られている。著者らは、THYNC試験装置により、実機核燃料と同長、同径の模擬燃料による22管群試験部を用いて、水力不安定実験を行った。その結果、模擬燃料出力を増加すれば、このような周期的沸騰遷移状態が発生し、さらに模擬燃料出力を増加すれば膜沸騰が持続する状態に至り、いずれの場合も模擬燃料温度は逸走しないことを確認した。周期的膜沸騰発生条件は、流量瞬時値が定常沸騰遷移曲線を下回るときで近似できた。持続的膜沸騰は、流量変動の振幅などの振動特性に依存するものの、質量流束変動の中心値が定常沸騰遷移曲線より小さいチャンネル出力で発生した。持続的膜沸騰発生条件は、低圧(2MPa以下),低流量(400kg/m2s以下)の条件では、梅川のモデルとほぼ一致した。高圧(7MPa)では、流量変動1周期間の熱バランスに基礎を置いた実験式とほぼ一致した。TRAC-BF1コードにより、周期的膜沸騰や持続的膜沸騰を予測できた。周期的膜沸騰遷移出力の予測結果はほぼ実験結果と一致したが、リウェット挙動の予測が不適切のため持続的膜沸騰遷移出力はよく予測できなかった。
鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
Proceedings of Asian Pacific Conference on Fracture and Strength '01(APCFS '01) and International Conference on Advanced Technology in Experimental Mechanics '01 (ATEM '01), p.140 - 145, 2001/00
原子炉圧力容器の構造健全性評価では、シャルピー衝撃試験から得られる延性脆性遷移温度の中性子照射によるシフトが、破壊靭性のシフトと等しいと仮定している。このため、破壊靭性とシャルピー遷移温度との相関を確立する必要がある。本研究では、6種類の原子炉圧力容器用のASTM A533B-1鋼及び溶接金属について、ASTM規格に導入されたマスターカーブ法を適用して破壊靭性を評価した。中性子照射試験は、JMTRにおいて、予き裂シャルピー破壊靱性試験片及び標準シャルピー衝撃試験片に対して実施した。マスターカーブ法に基づく破壊靭性参照温度とシャルピー遷移温度に対する中性子照射効果を評価した。試験片寸法効果に関して、シャルピー型試験片と大型試験片との比較も行った。破壊靭性参照温度の中性子照射によるシフトとシャルピー衝撃試験の遷移温度シフトとの相関を確立するとともに、照射後の最適な破壊靭性試験温度及び下限破壊靭性の評価に関する検討を行った。
毛利 友紀*; 加藤 小百合*; 森 博子*; 片山 芳則; 辻 和彦*
Review of High Pressure Science and Technology, 7, p.353 - 355, 1998/03
GaSb,AlSb,GaAs,GaP,InAs,ZnSe及びCdTeの相転移の温度依存性を、30GPaまでの高圧力下,90-300Kの温度範囲で、X線回折測定により調べた。相転移は圧力-温度相図中の経路に依存する。減圧後の回収試料の構造は結合のイオン性に依存する。イオン性の小さい場合はアモルファスになり、イオン性の大きい場合は安定な閃亜鉛鉱型構造、イオン性が中程度の場合は微結晶になる。これらの結果を配位座標モデルを用いて議論する。
鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
ISIJ International, 37(8), p.821 - 828, 1997/08
被引用回数:3 パーセンタイル:35.47(Metallurgy & Metallurgical Engineering)原子炉圧力容器鋼材の照射脆化に関して、各種機械的特性の変化の相関を調べた。照射脆化に影響する鋼材中の鋼、燐及びニッケル量を変化させた7種類の鋼材を利用し、JMTRで中性子照射を行った。本鋼材は、IAEA鋼材照射協力研究用に国内鋼材メーカーが製造したものであり、国内PWR圧力容器鋼の化学成分範囲を包含するように選択した。室温での降伏強さの増加を指標とした場合、ビッカース硬さの増加及びシャルピー遷移温度のシフトには良い相関が認められた。上部棚温度領域では、延性破壊靱性の低下と降伏強さの増加に良い相関が認められ、一方でシャルピー上部棚吸収エネルギにはあまり良い相関が認められなかった。延性脆性遷移温度域での破壊靱性値は、ばらつきが大きいため、統計処理を含む最適な評価方法の確立が必要である。
田畑 米穂*; 大島 明博*; 高鹿 和信*; 瀬口 忠男
Radiation Physics and Chemistry, 48(5), p.563 - 568, 1996/00
ポリテトラフルオロエチレンとポリスチレンの放射線照射効果に及ぼす温度依存性について調べた。ポリテトラフルオロエチレンは、融点直上で架橋するが、融点以下の温度では主鎖切断を起こす。しかし、77Kの極低温では、その切断は抑制される。一方、ポリスチレンは、室温照射では効果的に架橋するが、ガラス転移点異常の温度での照射では、切断が支配的になる。また、アタクテックとシンジオタクテックの構造の違いによりその照射効果は異なるとともに、結晶や非晶の違いにおいても照射効果の違いを観察した。
Bains, R.S.*; 杉本 純
Engineering Analysis with Boundary Elements, 14, p.267 - 275, 1994/00
被引用回数:4 パーセンタイル:76.68(Engineering, Multidisciplinary)局所的なホットスポットを含む薄肉配管に対する数値解の収束解析を実施した。空間メッシュの細分化に基づいた収束解のパターンが存在する。ホットスポットの近傍で配管内面とホットスポットの温度変化を記述するために温度遷移領域(TTR)を導入した。TTR内の唯一可能な温度場は、BEM法で用いられる内挿関数で表現されるものである。さらに、TTRが薄すぎると数値的な不安定性が起こり、正しくない解を与える場合があることを明らかにした。
鬼沢 邦雄; 深谷 清; 西山 裕孝; 鈴木 雅秀; 見原 正一郎*; 中村 照美*
IWG-LMNPP-94/9, 0, 12 Pages, 1994/00
原子炉の構造基準では、原子炉圧力容器鋼の照射脆化評価のため監視試験実施が義務付けられている。原子炉の供用期間を延長する場合、監視試験用試験片が不足する可能性があるため、試験済み試験片の再利用、すなわち試験片再生技術の開発は重要課題である。本報では、常温接合技術として試験片再生に有望な表面活性化接合法の適用性を検討した。軽水炉圧力容器鋼を用いた基礎的検討結果から、接合部の硬化領域の幅を3mm以下、接合時に照射温度以上に上昇する領域の幅を6mm以下に抑えることができることがわかった。他の溶接による試験片再生法と比較して、これら接合の影響をより小さくすることができ、より優れた試験片再生法であることが確認できた。
星屋 泰二; 高村 三郎; 有賀 武夫; 小桧山 守*
Japanese Journal of Applied Physics, 29(8), p.L1443 - L1445, 1990/08
被引用回数:4 パーセンタイル:29.75(Physics, Applied)室温でヘリウム照射した多結晶Bi-Sr-Ca-Cu-O系薄膜について磁場中における電気抵抗の温度依存性を抵抗法を用いて測定した。その結果、低抵抗領域での遷移温度の拡がりは照射フルエンスの増加とともに抑制された。また、実効活性化エネルギーはイオン照射により増加した。これらの変化はイオン照射で導入されたピンニング・センターの存在に起因している。
高村 三郎; 星屋 泰二; 有賀 武夫; 小桧山 守*
Japanese Journal of Applied Physics, 28(8), p.L1395 - L1397, 1989/08
被引用回数:3 パーセンタイル:23.68(Physics, Applied)Bi-Sr-Ca-Cu-O超電導薄膜を室温で400KeV Heイオン照射し、照射後の昇温に伴う臨界温度の回復過程を調べた。200~500Cの焼鈍によって臨界温度および常電導状態での電気抵抗は急激に回復する。超電導110K相は、600C焼鈍によって成長する。焼鈍する時の雰囲気として空気中で行ったとき、真空中で行ったときの差違を議論する。
鈴木 雅秀; 深谷 清; 古平 恒夫; 奥 達雄
日本原子力学会誌, 27(8), p.722 - 724, 1985/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.33(Nuclear Science & Technology)原子炉の構造物には低合金鋼が多く使用されいているが、原子炉冷却材の出口温度の高温化に伴い、高温で使用される機械が多くなり、高温強度特性の良好なCr-Mo鋼への期待が高まっている。日本原子力研究所で開発が進められている多目的高温ガス実験炉(VHTR)の圧力容器に使用予定の2-1/4Cr-1Mo鋼および主ボルトとしての1Cr-0.5Mo-0.3V鋼もその1例である。原子炉の健全性・信頼性の確保のためには、構造材料について材質的な面から十分に検討しておく必要があるが、この中で材質の経年変化の評価は重要であるにも関わらず甚だ難しい。というのは、予測評価には現象の機構的把握が前提として必要であるにもかかわらず現状では十分でないこと、および予測評価のための加速試験の方法が確立していないことが多いからである。一般的に、熱処理による組織調整法を用いて所定の強度、靭性を保持している材料では、高温で長時間保持された後も、これらの性質が保証されるか否かは定かではない。
下司 和男
Journal of the Physical Society of Japan, 50(10), p.3185 - 3186, 1981/00
被引用回数:50 パーセンタイル:91.55(Physics, Multidisciplinary)RbH(SeO)及びその重水素化物RbD(SeO)の単結晶を育成し、C-面の誘電率を室温~4.2Kの温度領域にわたって測定した。軽水素塩RbH(SeO)の誘電率は温度降下とともに単調に増大し、4.2Kまで何らの異常を示さないのに対して、重水素塩RbD(SeO)では、92Kに誘電率の極大がみられ重水素置換による相転移が導入されたことを示す。以上のふるまいは、これまでに報告したKH(SO),RbH(SO)及びそれらの重水素化塩でみられた結果と一致しており、これらのXH(YZ)-型化合物に共通の性質である。
下司 和男
Journal of the Physical Society of Japan, 48(4), p.1206 - 1208, 1980/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Physics, Multidisciplinary)従来、育成が困難とされていた亜硝酸銀単結晶をアセトニトリル溶液よりの蒸発法によって作製し、各結晶軸方向の誘電率を液体ヘリウム温度まで測定した。温度降下と共にa-軸方向の誘電率は単調に増加するが4.2Kまでピークは示さない。c-軸方向の誘電率は17.5Kで急に増大に転じこの温度に新しい相転移が存在することを示唆している。Makishimaらによって報告された40Kの相転移の存在は確認されなかった。
貴家 恒男; 武久 正昭
J.Macromol.Sci.,Part B, 13(2), p.215 - 229, 1977/02
cis-1.4-ポリブタジエン(cisBR)、cis-1.4-polyesoprene(cisPIR),スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)について、7~50C,1~8000Kg/cmの実験範囲で圧力-体積-温度の関係を測定した。Cis-BR,cisPIPでは低圧側、高圧側の2か所の圧力で体積が急変した(low pressure break,high pressure break)。SBRにlow pressure breakが存在しないこと及び前報の高圧下での放射線架橋の結果と考え合せ、low pressure breakはpartial crystallizationによる結論した。 一方、high pressure breakは3つのポリマーで見られ、cisPIPの等圧測定でも、等温線でhigh pressure breakを与える、温度,圧力と一致した。変化は一見一次転移を思わせるが、これは見掛上のもので、super heat(V-T)、super cool(V-P)によるものと考えられる。High pressure breakは高密度ガラスへの転移にもとずくと結論した。前報の高圧下での放射線架橋を良く説明できる結果を得た。
国富 信彦; 濱口 由和; 安西 修一郎*
Journal of the Physical Society of Japan, 18(5), p.744 - 744, 1963/00
被引用回数:8抄録なし